第７０回身延野宿塾報告

--そこにデイクがいた・・・
　　　　　　　　　　　　其の２--

１０月９日、
夜も明けきらぬ午前５時半、横須賀の自宅を出発する。目的地は山梨県身延町のＲ52号沿いの「スーパー・フジマキ」である。
　普通に走れば２００・少々、朝の８時に出ても間に合うのだが、ど渋滞の中を走る位なら、うんと早く着いて、暇を持て余す方が、余程良いに決まっているのである。
さて現地に着いてみると、税金がいた。ＮＺ帰りで久々の塾である。次に来たのは、以外にも組長。直ぐ近くなのを良い事に、ギリギリで来るだろうとの予想を裏切り３番目。次は大穴、よもや来るとは思ってなかったパッキ～ン橋本。最近なぜか、第３土曜日に塾が多いから、なかなか参加出来ないとの事。そして次はいつの間にかチャッカリ、バイクを新型セローに乗り換えた地下鉄である。見ていると、何かシックリ来ない。やはり新品が似合わない男である。最後に登場は、ダジャレを言わせたら組長以上との誉れ高い阿部である。親戚の家で長期不動に成っていた、ＤＴ１２５を言葉巧みに巻き上げ、修理しての参加である。今回の組会中ずっと組長に「ダサイ、パワーが無い」等と、けなされ続けていた。

身延スーパーフジマキ

飯を食って、行き先を検討した結果、井川雨畑林道周辺が良かろうと言う事で決定。よって買い出しも、ここで済ます事にした。今回行く井川雨畑林道は、実は私は一回も通れた事が無いのである。いつも路面決壊か、工事中であったのだ。長い長いクネクネの舗装路を走り、やっとダートにたどり着いたと思ったら、直ぐに山伏峠だ。ここからはまた舗装路が続く。　一休みしていると、阿部のキャリヤに直に縛った、ペットボトルが擦れて穴があき、命と酒の次に貴重な水が、漏れているではないか。彼もいつもと違うバイクで、仲々旨く行かない様だ。走り出して直ぐの水場で、ボトルに開いた穴をガムテープで塞ぎ、水を補給して走り出す。暫く行くと、左のダートへと曲がる。勘行峰林道だ。路肩決壊地点の少し手前の道端の広場が今夜の野宿地だ。

野宿地

いつもの様に薪を集め、焚き火を囲んでの宴会が始まる。霧が出て来て、標高の高さ（約1900ｍ）も手伝って、結構寒い。そこに追い打ちを掛けるように、組長と阿部のダジャレが炸裂し、寒さに拍車を掛ける。
　みんなの期待を一身に受け、焚き火の番をする橋本だが、今回は酔っぱらって、フリースを火の粉で穴だらけにしながら、焚き火を拝む姿を見られなかった。皆が残念がると、
本人曰く、「俺も大人になったんだよ」だそうである。　そうこうしている内に組長を筆頭に三々五々、皆自分のテントに戻って行き、夜は更けて行くのだった。
一夜明けて、空は快晴。いつもの様に、飯を食い、組長はスーパースージーに使うとかで、皆の野宿道具を撮りまくっている。朝露に濡れたテントが乾く間も無く出発。連休なので、このまま下って天竜辺りという話もあったが、組長は原稿の締切が有るとかで、今日中に帰るつもりらしい。
　辺りの林道をひとしきり走り、山伏峠を越え逆戻りする。林道脇の空き地で、昼飯を食う。近くの梢に、旨そうなアケビが生っている。ちょっと手が届かなくて残念であるが、こんなに暑くても秋なんだなあと思う。
　ここで阿部は思いだしたように、人と待ち合わせがあると言い出して、先に出発をする。何時にどこだと聞くと、15時に武川村のスーパーうさぎ屋だと言う。今13時半。ここから、どう考えても２時間以上はかかる。のんびり飯など食ってる場合ではない!!。後で小武川の某所で落ち合う約束をし別れる。ここで塾の締めをして我々も一休みの後、出発。

昼飯風景

また延々と続く舗装林道をウダウダと走り、県道に合流した所で組長と別れ、我々一行はうさぎ屋へ買い出しをすべく急ぐ。買い出しの後、小武川林道へ入り、いつものすしキャンプ場へと向かう。しかし連休と言う事で、林道端の広場には、キャンプしている人が多い。もしやと思ったが、現地に着いてみると、やはりと言うか先客がいて、野宿地は超過密状態。しかもそんな場所に阿部はテントを張ってしまっていた。取り敢えず話を聞くと、うさぎ屋でデイクと会ったらしい。たぶんいつもの場所で野宿をしていると思われる。阿部一行には申し訳ないが、ここでは落ち着けそうにないので、デイクがいると思われる、いつもの場所へと河岸を変える。

珍しく料理を作るデイク

更に藪が深くなった野宿地へ入って行くと、居た居た。デイクが薪を集めていた。しかしデイクの我々を見る目が何故か冷たい。いや敵意すら窺える。どうやら我々の事が分かってないようだ。それもそのはず、先頭は真新しいセローに乗った地下鉄でいつもの面影はなく、しかもバイクを売り払ってしまい、最近は塾にも来ていないデイクなので判らないのだ。２番目の私の顔を見て初めて形相を崩し、笑みが浮かんだ。
　デイク曰く、「何で来るんだよぉ。てっきり寺さんちに行ったと思ってた」てな訳で、登山宴会の時と同じく
「そこにデイクがいた」

小武川の夜は更ける・・・。

記　北脇

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