酔っぱらい金子「厳冬北海道旅日記」


記 酔金こと 酔っぱらい金子


第五章


冬の国道  元旦の朝である。
 同宿の彼と裏山に登り、初日の出を拝む。この年、初日の出が拝めたのは、全国で道東地区だけだったそうである。ユースに戻り年賀状を書いたり、CBの整備をしたりした後、出発したのは正午近く。
 相も変わらずコケまくりつつ、野付半島を周り尾袋沼ユースへ。
 ゆっくりと温泉に浸かり、夕食の席へ向かう。
とてもユースとは思えぬ豪華な皿が並び、各テーブルの上には焼酎の一升ビンが鎮座ましましている。
正月の大盤振る舞いだそうだ。当然の如く大宴会となり、その後の記憶は全てアルコールに流し去られ定かではない。

 どれだけ酒を喰らおうと、やがて朝はやって来る。二日酔い気味の胃には、ややボリューム過多の、イクラ丼と三平汁の朝食の後、標津方面へ。
 本日晴天、ほぼ無風。路面も圧雪状態で、比較的走り易い。ただし気温は氷点下10度前後、20分も走れば手足の感覚は無くなってくる。

 フロントブレーキの具合も、何だかおかしい。ワイヤーの内部が凍って来ている様だ。
もっとも凍結路の走行において、フロントブレーキを使用する機会は殆ど無い。

 それにしても地元の車はすごい。
アイスバーンの道を100キロ以上で吹っ飛んで行くわ、可愛い顔したお姐チャンが、鮮やかなカウンターを当ててコーナーを抜けて行くわ。その分路肩に突っ込んでいる車の多いこと多いこと・・・。

 正午も過ぎ、摩周湖のユースに電話を入れる。
「交通機関は?」と聞かれ、「単車です」と私。
受話器の向こうで「おい、バイクで来る奴がいるぞ!」どよめきが起きている。聞けばここのヘルパー連中も、大部分は単車乗りらしい。この夜もかなり盛り上がりつつ、ベッドに潜り込んだ。

次回に続く・・・

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