酔っぱらい金子「厳冬北海道旅日記」


記 酔金こと 酔っぱらい金子


第四章


 厚床から、R244を右に折れ、今度は北を目指す。路面はガッツンガッツンのアイスバーン、40km/h程で走行中、遂に轍にフロントを取られ大転倒。ところが、そこは氷の上。コケた体も単車も止まらない。シールド越しに路面の雪が飛んで行くのに見とれている内に(それは美しい光景で有りました。)路肩の雪の中へ頭から突っ込み、やっと停止。滑走距離は30m程であろうか、CBに駆け寄り、車体を起こそうとするが、これが一大事。途中まで起こすと足元が滑り、人間と単車が一緒に氷の上に這いつくばってしまうのだ。根性と精神力と大和魂を総動員し、何とかスタンドを掛ける事が出来た。お陰で体だけは暖まったが・・・。
厳冬の日没
 横殴りの風の中、海沿いをひた走る。ふと見ると、対向車線にライトが見えた。単車だ。郵便カブでは無いようだ。近づいて来る。KL氏だ!。向こうも気付いた様だ。まずは互いの無事を喜び合う。考えてみれば、つい24時間程前に別れたばかりなのだが、10日も20日も走り続けた後の、再会の様な気がする。煙草2本分の語らいの後、先に走り出したKL氏の排気音を聴きながら、暫くボーッとしていた。    冬の北海道の陽は短い。16時を過ぎると辺りは真っ暗に成ってしまう。15Wの「蛍の光」ヘッドライトを頼りに、数え切れぬ(10回を超える頃から馬鹿馬鹿しくなり、数えるのをやめた)転倒を繰り返し、羅臼のユースに辿り着いたのは18時をまわっていた。本日の宿泊者は、金沢から来た青年と小生の二人だけ。茶の間のコタツに入り、ミカンをかじりながら紅白歌合戦など見ていると、まるで実家で年を越している様だ。年が明けると、ペアレントさん一家と一緒に、近くの神社まで初詣に出掛け、ひたすらこれから先の無事を祈る。氷点下10度、粉雪の中の新年である。

次回に続く・・・


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